宗旨建立七百六十三年「達成・出陣の年」あけましておめでとうございます。

全国の宗内僧俗御一同には、すがすがしく「達成・出陣の年」を迎え、決意も新たに、いよいよの精進・御奉公をお誓いのことと存じます。

皆様も既に御承知の通り、昨年、宗門は誓願達成の気運が高まり、全国の成果を総計すると、昨年十月末には第二祖日興上人御生誕七百七十年、法華講員五〇パーセント増の誓願を達成することができました。

これもひとえに、各支部の皆様が僧俗一致・異体同心し、誓願達成へ向けて真剣に折伏に取り組んできた結果であり、心から敬意を表するものであります。

さて、本年は「達成・出陣の年」であります。

「達成」とは、本年三月の第二祖日興上人御生誕七百七十年の期日までに、全支部が法華講員五〇パーセント増の誓願を必ず達成することであります。

たしかに、全国の折伏成果を総計すると、昨年末には法華講員五〇パーセント増の誓願は達成しましたが、いまだ全支部達成には至っておらず、したがって、なんとしてでも全支部が三月の期日までには誓願を達成することが急務であり、最重要事であります。

全支部が誓願を達成して初めて、晴れて私どもは誓願を達成したと言えるからであります。

よって未達成の支部は、なお一層、信心を奮い起こして、万難を排し、身軽(しんきょう)法重・死身弘法(ぐほう)の精神と()くなき実践行動をもって、期日までには必ず誓願を達成され、全支部達成をもって第二祖日興上人へ御報恩謝徳申し上げられますように心から願うものであります。

次に「出陣」とは、来たるべき平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年までに法華講員八十万人体勢構築を目指して、各講中ともにいかなる難事にも耐えうる強靭(きょうじん)な陣容を整え、勇躍として出陣することであります。

出陣の先にあるのは、ただ勝利しかないことを、私どもは銘記しなければなりません。

その勝利のためには、各人が大御本尊の広大無辺なる功徳を拝信し、広布への使命のもと、異体同心・講中一結して、身軽法重・死身弘法の折伏に励んでいくことが最も肝要であります。

大聖人様は『女人成仏抄』に、

()(ほん)に浄心信敬(しんきょう)の人のことを云ふに、一には三悪道に()せず、二には十方の仏前に生ぜん、三には所生(しょしょう)(ところ)には常に此の経を聞かん、四には()し人天の中に生ぜば勝妙の楽を受けん、五には若し仏前に在らは蓮華より化生(けしょう)せんとなり」(御書 三四四頁)

と仰せられています。

この御文は、法華経提婆達多品の文を挙げて「浄心信敬の人」の功徳について五つの徳があると仰せられているのであります。

浄心信敬の人とは、清浄な心で仏様を敬う人のことであります。『御義口伝』には、

「浄とは法華経の信心なり、不浄とは謗法なり云云」(同 一七七八頁)

と仰せのように、法華経すなわち、今時(こんじ)末法におきましては本門寿量品文底秘沈の妙法蓮華経の大御本尊を受持信行して、固く謗法を断ち、純真に信心に励む人のことであります。

その浄心信敬の人の功徳について、一番目には、まず地獄・餓鬼・畜生の三悪道に堕ちることがないと仰せであります。二には、十方の仏前に生まれることができる。三に、生まれた所において、常にこの法華経すなわち妙法蓮華経を聞くことができる。四に、もし人間界・天上界に生まれれば、勝妙の楽を受けることができる。五番目に、もし仏前に在るならば、蓮華より化生することができる、と説かれているのです。

このうち、五番目の「化生」については、法華経薬王品に、

「一切衆生喜見菩薩、(かく)の如き法の供養を()(おわ)って、命終(みょうじゅう)の後に、(また)日月浄明徳仏の国の中に生じて、浄徳王の家に於て、結跏(けっか)趺坐(ふざ)して、忽然(こつねん)に化生し云云」(法華経 五二七頁)

とあり、仏・菩薩や天界の衆生のように、母胎や卵等を通過せず、忽然と生まれ出ることができると仰せられているのであります。

すなわち、本門寿量品文底秘沈の大御本尊様を浄心に信敬し奉れば、かくの如き広大なる功徳が(そな)わることを明かされているのであります。

まさしくこれは、受け(たも)ち奉るところの大御本尊様に具わる計り知れない、無量無辺の功徳力によるものであります。

よって『持妙法華問答抄』には、

「されば持たるゝ法だに第一ならば、持つ人(したが)って第一なるべし」(御書 二九八頁)

と仰せられ、さらに『本尊問答抄』には、

「本尊とは勝れたるを用ふべし」(同 一二七五頁)

と仰せられているのであります。

信仰の対象となる御本尊が勝れていればこそ、その功徳は計り知れないほど大きく、誤った本尊を対象としたのでは、いくら祈りを込めて懸命に信心に励んでも、幸せにはなれないことは明らかであります。

『当体義抄』には、

「正直に方便を捨て但(ただ)法華経を信じ、南無妙法蓮華経と唱ふる人は、煩悩(ぼんのう)(ごう)・苦の三道、法身・般若・解脱(げだつ)の三徳と転じて、三観(さんがん)三諦(さんたい)(そく)一心に顕はれ、()の人の所住の処は常寂光土(じょうじゃっこうど)なり」(同 六九四頁)

と仰せでありますが、まさしく、我々の信行実践の大功徳が何によって確立されるのかと言えば、末法御出現の御本仏、本因妙の教主たる宗祖日蓮大聖人御図顕の本門戒壇の大御本尊を受持信行する功徳によって初めてかなえられるのであります。

されば今、私どもはこの御本仏大聖人の出世の御本懐である本門戒壇の大御本尊へ帰命(きみょう)し奉る無二の信仰をもって、個々人の幸せはもとより、すべての人々の幸せと全世界の平和実現を目指して、随力弘通する大事な使命があることを自覚することが肝要であります。

大聖人様は『一生成仏抄』に、

「深く信心を()こして、日夜朝暮に又(おこた)らず磨くべし。何様(いかよう)にしてか磨くべき、(ただ)南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを、(これ)をみがくとは云ふなり」(同 四六頁)

と仰せであります。

私どもは、この御金言を胸に、いよいよ自行化他の信心を磨き、広宣流布への(たゆ)まぬ御奉公を尽くしていかなければならないと思います。

一方、先般、創価学会は「会則」の変更を議決し、

「弘安二年の御本尊は受持の対象にはいたしません」(聖教新聞・平成二六年一一月八日付)

と述べて、宗祖日蓮大聖人出世の御本懐である弘安二(一二七九)年の本門戒壇の大御本尊への信仰を否定する旨の発表をいたしました。

かくの如き、会員を(たぶら)かして正しい信仰から切り離す無慚(むざん)極まる暴挙に対して毅然(きぜん)として、彼らの誤りを(ただ)し、迷える創価学会員をできるだけ多く救済していくことが肝要であります。

どうぞ、皆様には御本仏大聖人の御意のままに、一切衆生救済の崇高なる使命をもって、いよいよ妙法広布に励み、三月の期日までには第二祖日興上人御生誕七百七十年、法華講員五〇パーセント増の誓願を全支部が必ず達成するとともに、新たな目標である平成三十三年・宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年、法華講員八十万人体勢構築の実現へ向けて、御精進されますよう心からお祈り申し上げ、新年の挨拶といたします。

大白法 平成27年1月16日刊(第901号)より転載