九月二十六日、富士山の初冠雪が発表された。
 十月は御会式の月。今月から順次、末寺の御会式が奉修される。
 そして「宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の年」は、十月一日から年末まで三カ月・九十二日間ある。これまで精いっぱい励んできた人も、昨日までの信心を改めて励もうと誓っている人も、共に御報恩謝徳の信行を実践していこう。
 折伏を念頭に置いて信心生活を送ってきた人は「やはり、大佳節の年は違う」と実感する出来事が幾度となくあったであろう。そこで、自身の折伏した人や講中の周囲の人にも同様の体験を積ませるため、「励めないのは環境のせいではなく、自分の問題だ。今年は特別な年。今がいよいよ本年最後の機会だ」と、信心姿勢を切り替えるように伝えていこうではないか。
 一方で、年初からがんばってきたという人の中にも、未だ、何がしかの成果として実ってはいないということがあるかも知れない。これからも、勤行・唱題・折伏・登山・寺院参詣・家庭訪問といった信行の一つひとつ、一回一回を、御本尊様の功徳を堅く信じて、正直に丁寧に、心を込めて積み重ねていこう。
 各支部では折伏誓願目標に向けて、指導教師と一体となって折伏・育成の活動をしてきた。その上で迎えたこの十月である。
 今、もしも「今年の折伏誓願目標を達成するには、このままではおぼつかない。どうしよう」と嘆息するだけならば、それは「果」にとらわれた見方と言える。
 これを「因」から見るならば、全く違った景色が広がる。尊いこの仏法を教えてくださった宗祖日蓮大聖人様の御聖誕八百年という、二度と巡りこない大佳節に、果たして今年の自分の信行はこれでふさわしいのかを省みて、行動を変えること。その結果として、悔いのない一年となり、明るい将来に繋げていけるのである。
 総本山第二十六世日寛上人は、
「自行若し満つれば必ず化他有り。化他は即ち是れ慈悲なり」(御書文段 二一九㌻〉
と御指南あそばされている。
 新型コロナウィルス禍下であっても、自行たる勤行・唱題はそれに左右されない。自行に励めば自ずから化他行に導かれる。もし妨げるものがあるとすれば、己心の魔である。
 今日ただ今から、一人ひとりが、「地涌の菩薩の眷属として使命を果たして来年を迎える」「納得のいく年にする」と決意し、因となる朝夕の勤行と唱題の姿勢から改めて精進しよう。

令和3年10月1日号(第1062号より転載)