(平成二十七年六月七日 於総本山客殿)

 皆さん、おはようございます。

本日は、六月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。

さて、今、全国の法華講は、先に第二祖日興上人御生誕七百七十年を記念して、法華講員五〇パーセント増の誓願を達成し、また奉祝大法要をはじめ、一連の奉祝行事をめでたく奉修して、新たなる目標である平成三十三年・法華講員八十万人体勢構築へ向けて、勇躍前進をいたしております。

誓願の達成は、我らに与えられた尊い使命であり、我らはなんとしても誓願を達成しなければなりません。

今、世界に目を転ずれば、各地では民族間の争いが絶えず、新たな戦争へと発展しかねない多くの問題が山積し

ており、闘諍(とうじょう)堅固(けんご)白法(びゃくほう)隠没(おんもつ)の末法濁悪の世相そのままの姿を現じております。また、国内におきましても、人心が荒廃し、犯罪の多発化、凶悪化のほか、口永良部(くちのえらぶ)島の火山噴火など、先行き不安な状況がますます倍増しております。

大聖人様は『立正安国論』に、こうした世の中の不幸と混乱と苦悩の原因は、すべて間違った教え、すなわち邪義邪宗の謗法の害毒によると仰せであります。つまり、間違った邪義邪宗の教えによって、貪瞋癡(とんじんち)の三毒が芽生え、この三毒によって、思想・見解が(にご)り、命が濁り、衆生世間が濁り、時代が濁り、世の中が不幸になっていくのであります。

そもそも、貪瞋癡の三毒とは、善根を害する煩悩であります。この三毒が充満した時には、個人だけでなく、一国をも不幸にするのであります。

大聖人様は『曽谷殿御返事』(御書 一三八六頁)に、戦争も疫病(えきびょう)も、また飢渇(けかち)もすべて、貪瞋癡の三毒より起こると仰せであります。この貪瞋癡の三毒がなくならないかぎり、人々の苦悩や戦争はやみません。

大聖人様の仏法は、久遠元初の妙法をもって、この貪瞋癡の三毒を、法身・般若・解脱(げだつ)の三徳に転じていく、一切衆生救済の偉大なる教えであります。

されば『始聞仏乗義』には、

「竜樹菩薩、妙法の妙の一字を釈して『譬へば大薬師の()く毒を(もっ)て薬と()すが如し』等云云。毒と云ふは何物ぞ、我等が煩悩・(ごう)・苦の三道なり。薬とは何物ぞ、法身・般若・解脱なり。『能以毒為薬』とは何物ぞ、三道を変じて三徳と為すのみ」(御書 一二〇八頁)

と仰せられているのであります。まさに、一人ひとりの幸せはもとより、すべての人々と法界を浄化していくのが、偉大なる妙法の功徳力であります。

我々は、大聖人様の弟子檀那として、邪義邪宗の間違った教えが、いかに多くの人々と世の中を混乱と不幸に陥れているかを知らしめ、一人でも多くの人を塗炭(とたん)の苦しみから救っていかなければなりません。

我々の行う折伏は、慈悲行であります。この地球上からあらゆる苦悩を除き、争いや戦争をなくし、平和な世界を築き、世界中の人々が幸せになるために、折伏を行じているのであります。

大聖人様は『持妙法華問答抄』に、

「されば(たも)たるゝ法だに第一ならば、持つ人随って第一なるべし」(同 二九八頁)

と仰せであります。一閻浮提(いちえんぶだい)第一の御本尊を(たも)つ者、広大無辺なる御本尊の功徳力によって、必ず一閻浮提第一の人となるとの仰せであります。

私どもは、この大確信のもとに、一人ひとりが、末法の一切衆生救済の誓願に立ち、新たなる目標である平成三十三年・法華講員八十万人体勢構築へ向かって、講中()げて折伏に励み、もって自他共の幸せを築かれますよう心から願い、本日の挨拶といたします。

大白法 平成27年6月16日刊(第910号)より転載